Audiolab Used Restore

フルレストアの記録 『JBL 4320WX』の場合

 

2008年3月、JBLのプロ用モニターの元祖『4320』のレストア作業を開始しました。しかも、よくみるグレー塗装ではなく家庭用を意識したウォルナット仕上げの『4320WX』です。年式が古いので、何度かエッジ交換も行っているようで、ウーハーには人工皮エッジが貼ってあります。もちろん当店では純正に準じウレタンエッジに交換します。ウォルナットの4320は初めてなので外観はもちろんどんな鳴り方をするのか、とても楽しみです。ごゆっくりご覧ください。

 
 

 

1ウーハー【2215B】 レストア作業

1.コーン紙は年代を感じるグレーです。当時はもっと黒味の強いグレーだったようですが、経年で少しずつ色が変わってきていますね。

2.ちょっとわかりにくいですが、このとおりダンパーのだれもなくまだまだ現役です。

3.エッジはこのとおり、人工皮です。年数が経ちハリがなくなってしまっています。貼り替えた当時はもっとロールが付いていたと思いますが、年数とともにダランとしてきます。

4.コーン紙をはずしました。内部の錆はあまりなく、よい環境でお使いだったことが伺えます。

5.エッジの接着剤などもきれいに剥離しました。

6.こちらはコーン紙だけです。傷もなく、本当によい状態です。

7.ターミナルの取り付けビスです。これもとてもきれいです。どこかで交換したのかな?と思うほどですね。

8.いつもどおり、ラグを丁寧にクリーニングしターミナルビスを交換しました。オーバーホールも完了です。

9.ターミナルビスはこのとおり。きれいです。

 


困ったことに作業に熱中しすぎたようで、画像をあまりとっていませんでした。申し訳ございません。完成したウーハー単体の画像もないので、完成画像はシステムに組み込んだ状態でご覧ください。

とりあえず、ウーハーは作業完了です。

 

 

コンプレッションドライバー【2420】 レストア作業

1.外観です。カバーと磁気回路の中間(磁気回路のトッププレートに当たります)が黄色に変色しています。かなり酸化しているようですね。

2.このとおり。黄色から赤錆に変わりつつあるようです。ウーハーはよい状態だったのに、ドライバーはかなり酸化していますね。

3.ホーン内部もぼろぼろです。塗装のハガレが気になりますので再塗装しましょう。


4.こちらは磁気回路のカバーをはずしたところ。吸音材はかなり劣化しています。ウレタンが劣化するとねばねばした物質になり、手に付くとなかなか取れないのです!

5.こちらはダイヤフラムです。振動系はまったく問題ないようです。接点部分のビスとダイヤフラムの取り付けビスの酸化が著しいため、こちらは新品に交換しましょう。

6.とりあえず、吸音材を新品に交換しました。これで粘つきもなくなりました。もちろん吸音効果も元通りです。

7.ターミナルの取り付けビスも新品に交換しました。

8.ターミナルも丁寧にクリーニングしました。作業前の画像をとり忘れてしまいましたが、かなりの酸化状態でした。接触不良の原因になりますので、ここはかなり神経質に作業します。

9.磁気回路のオーバーホールも完了です。後は調整するのみです。

 

ドライバーの作業が完了です。
またしても画像がほとんど残っていませんでした。申し訳ございません。ホーンの再塗装なども行っていますので紹介したかったのですが、やはり完成画像でご覧いただきます。

 

クロスオーバーネットワーク【3110】 レストア作業

1.ネットワークの内部です。

2.ドライバー同様酸化はかなり進んでいます。


3.ビスはすべて交換します。一目瞭然ですが右が交換前、左が交換するための新品ビスです。

4.ターミナルです。そこまでひどくはないですね。でも表面がくすんでいます。

5.今回はお客様と相談しターミナルをJBLプロ用の新品パーツに交換します。このとおりぴかぴかです。

6.作業完了です。動作チェックをおこない、不良パーツがないことは確認済みでした。接点クリーニング、切り替えスイッチの接点クリーニングを行い、お客様のご希望のバナナ対応ターミナルに交換し、作業完了です。

本来『JBL Professional』ブランドのネットワークはすべて「5」のようなターミナルが使われています。ただ、4320はその初期モデルになり、民生用JBLのターミナルが使用されている例が多いです。このあたりが、やはりプロ用モニターの元祖なんだと実感するところです。

 

エンクロージャー作業前 外観

1.やはりかなり年月が経過しており、色落ち、傷など多数あります。

2.天板もこのとおり、色落ちもしていますね。

3.別角度から天板です。右上にちょっと見られるのがカド欠けの補修後です。

 

エンクロージャーもすべて補修しました。仕上がりは完成画像で確認ください。力作です。

 

『JBL 4320WX』完成

1.完成です。ネットもつき、4320の完成です。木目部分は素地調整のうえオイルフィニッシュです。新品のころはこのような透き通った色だったと思います。

2.ウォルナットのなじみますね。グレー塗装のモデルを見慣れているのでどんな仕上がりかな〜、と思いましたが、エンクロージャーもきちんと仕上がり、落ち着いた雰囲気がなんともいえません。ホーンも再塗装で見違えるようです。

3.正面から。音響レンズをつけると威圧感がでますね。スタンドはバック工芸社の『Basic-100』です。ジャストサイズです。

4.前面バッフルも再塗装したので落ち着いたよい仕上がりになりました。

はじめての『4320WX』(ウォルナット仕様)が完成しました。本当であればもっと詳細に紹介したかったのですが。申し訳ございません。
でも、思いつく限りすべてレストアできました。かなり古いモデルですが、まだまだ現役で活躍できると思います。
きっと新しいオーナー様にかわいがってもらえるでしょう。ありがとうございました。

TOP  AudioShop   スピーカー修理工房  スピーカー修理事例  お問い合わせ