Audiolab Used Restore

 

2008年1月、【TANNOY Autograph 国産箱】の購入先が決まりました。誠にありがとうございます。いつでも作業にかかれるようにユニットはすでにはずしてあったのですぐに作業開始です。タンノイのシステムはどのモデルでもユニットは大概同じですので、その意味でいつもどおりなのですが、今回はオートグラフということでエンクロージャーの構造、大きさにはただただ圧倒されるばかりでした。あまりに大きく見やすい画像がなかなか撮れなかったのですが、ユニット、ネットワークのはずし方の参考になればと思っています。今後オートグラフやタンノイのバックロードタイプのスピーカーを修理に出していただく際にお役に立てればと思います。ごゆっくりご覧ください。

 
 
ユニット・ネットワーク取り外し

1.いきなりのアップですみません。これは正面のネット下側です。このネジ(左右で2本)でエンクロージャーとサランネットが留まっています。まずこのネジをはずしてネットをはずします。


2.ユニットが現れます。ホーン型になっていますね。次にこのホーン型のバッフルをはずします。


3.外周に木ネジで十数か所と固定されていますので、ははずします。

4.さらにユニットの取り付けボルト(ヘックス)4箇所がバッフルとユニットを同時に固定していますのでこちらもはずします。

5.はずしたビスたちです。ちょっとずつ形が違ったりしますので間違えないように分けて保管します。

6.バッフルが外れました。なにやら複雑な構造になっています。


7.バッフルをはずして気づきますが、ユニットはさらに別の4箇所をボルトで固定されています。バッフルと一緒にとめられている箇所とあわせ8本のボルトで固定されているのですね。

8.はずしたバッフルです。画像だとわかりにくいですが、深さは2〜30センチあり、ホーンとしての効果はかなり期待できます。

9.ユニットをはずしました。ユニットの配線はいつものタンノイ同様4ピンのコネクタです。不用意に持ち上げるとコネクタ及びジャック部分が破損しますので、必ず若干浮かせてコネクタをはずした上でユニットを持ち上げます。

10.今回は配線を含めネットワークまですべて取り外します。ユニットに接続されているコネクタも一緒にはずしますので、まずはこのジョイントでそれぞれを切り離します。

11.はずすとこんな感じです。ステープルもはずし配線が自由に動かせるようにします。

12.ここから側面の空間に抜けているのですね。バックロードにそって配線を引き回すと大変ですし、3メートルも必要になりますから、当然ですね。とはいえ、ユニット側はこれですべて取り外せました。次はネットワークです。

13.サイドのネットをはずします。ネットワークなどはターミナルのある面に設置されていますのでターミナル側のネットをはずします。

14.暗くていまいち見えませんが、左側にネットワーク、右側にアッテネータープレートとターミナルがあります。

15.ネットワークです。やはりいつものモニターゴールド用のものです。ネジ止めされていますのでこれをはずします。

16.これはアッテネーターの裏側です。真ん中のビス(長さが奇妙ですが)をはずすとカバーが外れてきます。

17.カバーをはずすとこんな感じ。そのままスイッチですね。これを外側に(画像でいうと下側に)押し出します。すると・・・

18.このように外側に外れます。後は簡単。

19.角度を変えて・・・

20・中に入れてあげると取り外し完了です。です。


ようやくユニット、ネットワークの取り外しが完了です。エンクロージャーが大きいので、まず場所の確保が大変です。当社はとても狭いので、店舗入り口の屋根のある部分で作業を行いました。天候にも恵まれどうにか作業完了です。大仕事でした。
 
デュアルコンセントリックユニット 【Monitor Gold 15】 レストア作業

1.ユニットはいつものタンノイと同じです。

2.まずはツィーター側。ダイヤフラムをはずします。

3.磁気回路が現れました。予想よりもきれいでした。


4.フレームから磁気回路をはずしました。左右同じ工程を行います。


5.ツィーター側がきれいなので安心していたのでびっくりでした!!


6.センターのホーン部分に著しい酸化が見られます。すでに赤錆となっている部分もあります。

7.こちらははずしたフレームおよびコーン紙、ダイヤフラムです。

8.ボイスコイルもきれいで、まだまだ現役で問題ありません。


9.TANNOYは配線がコネクタ式になっていますが、片方でこの受け部分が折れており配線を直付けしてありました。このままでも動作は影響ないですが、せっかくなので中古と交換しましょう。


10.はずしました。ベーク板に設置された金属の受けがなくなっていますんね。これはもう使えません。

11.中古に交換しました。接点の確認もし、作業完了です。

12.コネクタもなかったので中古に交換します。これは当店の貴重な中古コネクタです。

12.コネクタに配線を取り付けます。

14.カバーを取り付けて作業完了です。

15.もちろん導通も慎重に確認しました。問題ないようです。

16.磁気回路のオーバーホールが完了です。ホーン部分の赤錆はかなり根が深く難儀しました。防錆剤も塗布しました。

17.ツィーター側もオーバーホール、防錆処理済です。後は組み込むだけです。

18.直接音には関係ないですが、ダンパーの取付金具も酸化が進行していました。

19.錆取りを行い、防錆剤と塗布してこのとおり。

20.通常はしませんが、オートグラフへの敬意をこめて、磁気回路カバーの取り付けビスもクリーニングしました。このとおり、ぴかぴかのゴールドです。とはいえ、真鍮みたいなメッキなので、時間がたつとまた曇ってしまいますが。。。

21.このとおり。自己満足ですが、気持ちがいいですね。

22.ユニットの全工程が完了です。後は組み込まれるその日を待ちます。

ユニットが完成しました。 今回のユニットはとても状態がよく、音の調整もすんなり決まってくれました。ほっと一安心です。エンクロージャーに組み込むとどんな音がするのでしょうか?楽しみです。

クロスオーバーネットワーク レストア作業

1.ネットワークのチェックです。測定したところやはり異常が認められました。確認するとやはりいつもどおり電解コンデンサが原因のようです。


2.この銀色のコンデンサ(乾電池のようなもの)が原因です。

3.同じ部品は入手できませんので汎用品に交換します。これが交換するパーツです。

4.交換しました。スペース的にちょっと窮屈ですが、なんとか納まりました。

5.フタを閉じて作業完了です。アッテネータもガリが発生していましたので丁寧にクリーニングを行いました。


6.はずした電解コンデンサです。なぜかこのコンデンサはだめになります。寿命ですね〜!!

クロスオーバーネットワークが完成しました。あとはエンクロージャーを残すのみです。

完成 【TANNOY Autograph 国産箱】



1.ついに完成です。 大編成のオーケストラを聴いてみました。もう、すばらしいの一言です。 大きさもあるかもしれませんが、まるで音楽に包まれているような気がしました。しばし時間を忘れてしまいました。



2.音も感動ですが、やはりこの迫力!同じユニットで、こうまで音が音が変わるとは、、、古の偉人のすばらしい仕事に脱帽です。

すばらしい経験をさせていただきました。ユニットの取り外しから組み込みまで、苦労したこともありましたが、やはり完成したスピーカーで音楽を聴くとすべて忘れてしまいますね。きっと新しいオーナー様にも喜んでいただけると思います。お付き合い誠にありがとうございます。

TOP  AudioShop  スピーカー修理工房  スピーカー修理事例   お問い合わせ